映画「TRANSPORT トランスポート」-時空を超えて彼女を救え!
ちょっとおバカでひたすらピュアな青年が、昏睡状態の恋人を救うため過去と現在を駆けずり回るSFラブストーリー。辿り着いた本当の愛とは…
公開:2005年
製作国:カナダ
上映時間:89分
監督・脚本:デヴィッド・レイ
出演:
ジェイ・バルチェル
サラ・リンド
ジム・バーンズ ほか
※本記事にはネタバレ、結末が含まれています。
せつないSFラブストーリー
SFと言ってもチープなB級感が漂い、キラキラなVFXもなければ、複雑なSF的設定もありません。
しかしそこが本作の魅力。
タイムマシンをまったく活かし切れないグダグダな主人公ですが、ひたすらピュアで一途です。
少しずつ核心に近付き、最終的に下す決断は心に響きます。
また本作は、バンクーバーで最も治安の悪い地域ダウンタウン・イーストサイドで撮影され、ドラッグや貧困といった問題についても描かれています。
主演のジェイ・バルチェルは「ミリオンダラー・ベイビー」(2004年)「魔法使いの弟子」(2010年)などに出演。「ヒックとドラゴン」シリーズ(2010年~2019年)では主人公ヒックの声を演じています。
ヒロイン役のサラ・リンドは、「ヒューマン・ハンター」(2018年)のほか、スティーヴン・セガールの「沈黙」シリーズではセガールの部下サラ・モンゴメリ役を演じていました。
映画「TRANSPORT トランスポート」のネタバレあらすじ
ダウンタウンでドラッグの売人をする青年アート。
ドラッグを常用し、仕事も住む家もなかったが、恋人のコーディと幸せな日々を送っている。
アートと恋に落ちこの街に住み着いたコーディも、薬に手を染め、売春をして日銭を稼いでいた。
2人は結婚や旅をする夢を語り合うが、その日暮らしの生活からは抜け出せない。
ある夜、アートがコーディのアパートを訪ねると、彼女はベッドに横たわっていた。
声をかけ起こそうとするも、目を覚まさない。
そこに救急車が来て、病院へ搬送されて行く。
コーディは昏睡状態に陥っていた。
ドラッグの過剰摂取が疑われたが、以前から状態は悪かったようだ。
ソーシャルワーカーに悪態をついて病院を追い出されたアートは、ホームレスの友人ハーベイを訪ねる。
ハーベイは動揺するアートを気にかけ、自分の作業場で休むようにと鍵をくれた。
汚い倉庫のような作業場のガラクタの中に、ハーベイが拾ってきたボロボロのひとりがけのソファがあった。
彼曰く、それはタイムマシンらしい。
アートが腰掛けると、ソファに取りつけられた電飾が点いた。
コードを抜いても座ると電飾が点く。
訳が分からず、「ここから出してくれ」と適当に言うと、次の瞬間ソファごと建物の前の線路にいて、危うく電車に轢かれそうになるが、どうやらタイムマシンは本物のようだ。
アートはコーディが病気になる前へ行き彼女を救おうと考える。
ソファに命じると、やってきたのは女子高の体育館。
高校をドロップアウトしたコーディがいじめを受け始めた頃だ。
女子高生のコーディは、体育の授業中に初潮を迎えて体操服を汚してしまい、他の生徒からからかわれていた。
アートは現在に戻ってゲイの友人にタンポンを買ってもらい、再び体育館へタイムスリップ。
しかし、皆の前でタンポンを渡そうとして、コーディからは拒まれ、女子生徒たちからは不審者扱い。慌てて現在へ逃げ戻った。
何度目かのチャレンジでやっとタンポンを渡すことに成功する。
そして現在へ戻ったアートは急いで病院へ行くが、コーディは昏睡状態のままだった。
彼女が退学し不良となるきっかけを阻止したのに何も変わらないとハーベイに文句を言う。
しかし女子高生のコーディが、兄がひどいことをしたと言っていたのを思い出し、アートは再び過去へ。
コーディの家の庭に来ると、彼女の兄が現われて拳銃自殺をした。
どうやらクラスメイト全員にゲイだということが知られてしまったらしい。
悪戦苦闘の末、アートはなんとか兄の自殺を食い止める。
しかし現在へ戻ってもコーディの容態に変わりはなかった。
その後、女子高生のコーディの家へ行ったアートは、両親の会話から、女子高に入学する以前から彼女が問題を抱えていたことを知る。
彼女は8歳の時に暴行されていたのだ。
アートは何としてもコーディを救う決意をする。
出会った頃、荒れてボロボロだったコーディを守ってやると約束したのに、売春をするのも止められなかった自分を責めていたのだ。
ハーベイは過去を変えたらすべて忘れてしまうかもしれないと諭す。
しかしアートは、病床のコーディに絶対に忘れないと誓い、8歳の彼女と会う。
手を繋いで家に送ってやりながら、知らない人と話しちゃいけないと教えた。
そして世界で一番大切なことは死なないことだと。
別れ際にハグをして、「もう会わないだろう」とアートが言うと、幼いコーディは「あたしが見つけるかも」と言った。
現在に戻り病院へ行くと、病室にコーディはいなかった。
彼女を救ったと思い安心するが、コーディは亡くなっていたのだった。
コーディの亡骸を前に、アートは「何度も過去を変えたのに何故だ」と涙を流す。
行き詰ったアートはコーディが昏睡状態になる直前に行き、彼女を連れてタイムマシンで移動しようとするが失敗。
再びその夜に戻り、アパートを訪ねる。花を贈りプロポーズをして、一緒に食事をした。
ドラッグを打とうとするコーディを止めると、彼女はアートの膝の上に横になって、2人の出会いを語った。
ドラッグを求めてダウンタウンへ来てアートと出会い、一目ぼれしたのだと。
そしてそのまま眠るように昏睡状態になってしまった。
アートは救急車を呼んだ。
何をしてもコーディを救うことはできなかった。
家を出て新しい場所へ行くはずだったコーディをダウンタウンに引き留め、ドラッグをやらせてしまった。
自分が原因だったのだとアートは悔やんだ。
ハーベイはそれは彼女の選択だと言うが、アートはタイムマシンでコーディと知り合う前に戻る。
そして街角でウロウロしている自分を警察に通報した。
過去の自分が連行されたその直後に、コーディが街へやってくる。
2人が出会った場所をコーディが通り過ぎるのを、アートは見つめていた。
ソファの上で目を覚ますと、アートはコーディのことを忘れていた。
恋人を救おうとしていたことも、コーディという名も覚えていない。
ハーベイに一生を賭けた恋なんだろう?と言われても、からかうなと笑った。
2人はソファを捨てに行く。
旅に出ると言うアートに、ハーベイはゴミの中から拾ったボロボロのナップザックを渡した。
夜が明けて長距離バスに乗る。
同じバスにコーディが乗っていた。
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※2021年8月の情報です。最新の配信状況は各サイトにてご確認ください。