映画「アバウト・ア・ボーイ」-ダメ男ヒュー・グラントと子役時代のニコラス・ホルトの共演

金はあるけど中身がない38歳の独身クズ男と、家族の問題を抱える12歳の少年の間に生まれた奇妙な友情を描くヒューマン・コメディ。

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公開:2002年

製作国:アメリカ、イギリス

上映時間:101分

監督:クリス・ワイツ、ポール・ワイツ

原作:ニック・ホーンビィ

出演:ヒュー・グラント
ニコラス・ホルト
トニ・コレット
レイチェル・ワイズ ほか

 

 

※本記事にはネタバレ、結末が含まれています。

映画「アバウト・ア・ボーイ」のネタバレあらすじ

ロンドンに住む38歳の独身貴族ウィル。
仕事もせず、父親が生前に作曲したクリスマスソングの印税収入で悠々自適に暮らしていた。
その端正なルックスで次から次へと相手を変えデートを楽しむが、いつも長続きしない。
妹夫婦はウィルを心配し、生まれた娘の後見人を頼むが、こともあろうか18歳になったらやっちゃうかもよと言って断る。
彼は自他ともに認める薄っぺらい男だった。

あるシングルマザーの女性との関係を解消する際に、たまたま彼女の方から前夫や子どもの問題があると先に別れを切り出してきた。
飽きては捨てるというこれまでの別れ際はクズだの自己中だのと酷い言われ様だったウィルだが、今回はいい人のまま別れることができたのだ。
そこで、シングルマザーは後腐れがないとひらめいたウィル。
セクシーでゴージャスなシングルマザーを求め、2歳の息子がいるという設定でシングルペアレントの会に参加。
ペラペラと大ウソを並べ立て、早速、スージーという女性と仲良くなる。
シングルペアレントの会のピクニックでデートすることになるが、スージーは会の友人フィオナから預かった12歳の息子マーカスを連れてきた。

マーカスは学校でいじめられていたが、精神的に不安定な母フィオナを気遣い気丈に振る舞っていた。
ピクニックでは、フィオナの硬すぎる手作りパンを池に投げたらカモに当たって死んでしまうという悲惨な事故が起こるも、ウィルが公園の管理者を巧く言いくるめ、マーカスはこの下心丸出しの胡散臭い中年男に少しばかり好感を持つ。
その後、ウィルとスージーがマーカスを家まで送り届けると、フィオナが自殺を図っていた。
幸い一命を取りとめるが、自分だけではママを守れないと考えたマーカスは、裕福なウィルに白羽の矢を立てるのだった。

マーカスを邪険に扱うわけにもいかず、ウィルはフィオナと3人での食事の誘いを渋々了解する。
相手はヒッピーのような個性的な格好の自殺未遂の母親(ベジタリアン)と、生意気な12歳の子ども。
一刻も早く切り上げようとするが、なぜかフィオナの弾き語りにマーカスの歌まで聴かされる羽目に。
目を閉じて酔いしれながら「Killing Me Softly」を歌う母子に、ウィルはシングルマザーを狙ったりした罰だと悔やんだ。

一方、作戦が成功したと喜ぶマーカスは、ウィルを尾行して子どもがいないことを突き止めると、家に押しかけて、嘘を黙っていることを条件にママと付き合ってと頼む。
あまりにしつこくやって来るので仕方なく家に入れると、彼はクイズ番組を見て帰って行った。
翌日も同じ番組を見て帰り、いつしかふたり一緒にテレビを見るのが日課になっていった。
ウィルは一応フィオナの様子を尋ねたりするものの、親身になるわけでもなく助ける甲斐性もなく、軽はずみな自分に後悔する。
しかしマーカスはウィルの率直な言葉に、ひとりで抱えていた不安な気持ちが楽になるのだった。

ある時、マーカスはいじめっ子たちに追いかけられ、ウィルの家に逃げ込む。
母親が毎朝学校まで送ったり、ヘンな髪形や無意識に歌ってしまうことでいじめの標的になっているのだ。
我慢するしかないと諦めるマーカスを、ウィルは買い物に連れて行き最新のスニーカーを買ってやる。
下心もない無償の行いに、ウィルは気持ちよくなった。
しかし、スニーカーはすぐにいじめっ子に盗まれてしまう。
泣いて帰ったマーカスを問い詰め、ウィルと会っていることを知ったフィオナは、ウィルが妹とレストランで食事しているところに乗り込んだ。
公の場で一方的に怒鳴られ、子供に手を出したとあらぬ疑いをかけられたウィルもキレて反撃、息子がいじめられていることに気付かないフィオナを責める。
この時、母ではなくこのイカレオヤジこそが理解者だとマーカスは悟った。
もう家に入れないと言い放つウィル。するとフィオナはこの子を見捨てるのかと手のひらを返し、妹までもそれに賛同するのだった。

クリスマス。ウィルはひとりで酒とマリファナとホラービデオを楽しむという自分のスタイルを守ろうとするが、結局マーカス母子のパーティーへ行くことになる。
マーカスの父親とそのガールフレンドとさらにその母親というメンバー。ウィルにとっては母子2人だけよりずっとマシだった。
遅れて来たスージーが嘘をついていたウィルに怒ると、フィオナもその肩を待つ。
ところがマーカスが、母親に反抗してウィルを庇った。
母子の喧嘩が自殺未遂の件に及びそうになると、ウィルはカモ殺しの話にすり替えて場を和ませる。
そして不思議なことに、この奇妙な取り合わせのパーティーはウィルを心地よくさせたのだ。

Source: https://www.youtube.com/watch?v=-apwoGTpi7E

程なくして、ウィルはレイチェルという女性に恋をする。
12歳の息子のを持つ彼女の手前、ウィルは成り行きで子持ちということにしてしまった。
マーカスに息子役を頼み2人でレイチェルの家を訪ねると、彼女の息子はマーカスの同級生。母親をウィルに取られると思って激怒するが、マーカスが上手くウィルとレイチェルを取り持ってくれた。

一方、マーカスは、クリスマスにウィルから貰ったCDプレイヤーとラップのCDにハマり、それがきっかけで知り合った鼻ピアスのクールな上級生エリーにほのかな恋心を抱いていた。
ウィルとマーカスは互いに恋愛話しをするほど打ち解けていたが、12歳のピュアな初恋に、ウィルができるのはセックスのアドバイスくらいだった。
ところがマーカスからは、恋人にしたい相手に嘘をつくのかと核心を突かれ、ウィルは一晩考え込んでしまう。
ついに意を決してレイチェルに真実を打ち明けたはいいが、「勝手に子持ちと勘違いした」という逃げ口上に、適当な言い訳。
「あなたは空っぽ」と言われ返す言葉もなくその場を立ち去るのだった。

マーカスはエリーや彼女の仲間とも楽しく過ごすようになる。
しかしそんな時、フィオナが再び不安定に。
ウィルを頼るが、落ち込んでいたウィルは彼を突き放してしまう。
マーカスはママを喜ばせるために、学校のロックコンサートに出てママの好きな歌を歌おうと考えた。フィオナがマーカスの歌声に癒されるといつも言っていたのだ。
エリーには自殺行為だと止められ、バンドのメンバーも集まらなかったが、ひとりでロックコンサートの出演を申し込んだ。

マーカスと決別してしまい、ウィルは意味のない自分の人生を振り返る。
そしてマーカスこそかけがえのない友だちだと気付いた彼は、フィオナを救おうと彼女の元へ。
フィオナは自殺する気はなく、ウィルが心配して来てくれたことを喜んだ。
しかし彼女から学校のロックコンサートの話を聞くと、ウィルは血相を変える。
いじめられっ子のマーカスがヘタクソな古い歌を皆の前で歌えば一生消えない傷を負うと分かっていた。
そんなこととは思いもよらないフィオナはマーカスの歌を楽しみにしていたのだが、すべてママのためだと聞かされ、母親失格だと嘆く。
ロックコンサートの舞台裏に駆けつけたウィルを振り切って、マーカスはひとりでステージに立った。
「ママに捧げます」と言い、細々と「Killing Me Softly」を歌うマーカスに、生徒たちはブーイング。
いたたまれない空気にウィルは他のバンドからギターを借りて、ステージに出て伴奏を始めた。
暴走したウィルのパフォーマンスは観客の嘲笑を浴び、「社会的自殺」を彼が引き受けた。
ステージを見ていたレイチェルも思わず笑顔になっていた。

それからフィオナは少しずつマーカスに寄り添うようになる。
そしてその年のウィルは、マーカスとフィオナ、レイチェル親子やエリーも交え、にぎやかなクリスマスを迎えた。

「アメリカン・パイ」のワイツ兄弟がイギリス進出

原作はイギリスの作家ニック・ホーンビィの同名ベストセラー小説(1998年出版)。
ニック・ホーンビィの作品は本作を含む5作品が映画化されています。

ロンドンを舞台にイギリス人俳優が目白押しの本作は、てっきりイギリス人監督かと思いきや、下ネタ満載の伝説的な大ヒットコメディ「アメリカン・パイ」(1999年)を手掛けたクリス・ワイツポール・ワイツのアメリカ人兄弟による監督・脚本。
初イギリス進出の本作で、第75回アカデミー賞脚色賞にノミネートされました。

ちなみに共同脚本を手掛けたピーター・ヘッジズは俳優ルーカス・ヘッジズのお父上。
また、製作にはロバート・デ・ニーロのプロダクション「トライベッカ」が参画しています。

映画「アバウト・ア・ボーイ」のキャスト

ヒュー・グラントは、「フォー・ウェディング」(1994年)、「ノッティングヒルの恋人」(1999年)「ブリジット・ジョーンズの日記」シリーズ(2001年~2004年)など数々のヒット作に出演、「ロマンティック・コメディの帝王」と呼ばれています。
クズなのになぜか憎めないダメ男というお決まりのハマリ役。本作では恋愛もありながら、子どもや親子によって成長していく異色の展開です。
繊細な問題を抱えた親子に対して、まるで別世界の主人公ウィルは1ミリの情けもかけないのですが、この温度差や、押し付けない距離感が作品の要になっています。

マーカスを演じたのは、今や押しも押されもせぬイケメン俳優ニコラス・ホルト
美少年すぎるために変な前髪のマッシュルームカットにしたのだとか。
子役時代の可愛らしさと確かな演技がたっぷり堪能できます。

マーカスの母フィオナに不安定が似合い過ぎるトニ・コレット、美貌のシングルマザーにレイチェル・ワイズなど、女優陣も豪華です。

彩り豊かな音楽たち

作中でフィオナとマーカスが歌い、学校のロックコンサートでも披露された歌は「Killing Me Softly with His Song」。
ロバータ・フラックの1971年のポピュラー・ソングです。
世界中でカバーされ、日本でもCMに使用されたり、多くのアーティストがカバーし、平井堅は2014年発売のアルバムでロバータ・フラックと共演しています。
原作では「Killing Me Softly」は登場せず、ニルヴァーナが作品の重要な鍵となっています。

冒頭でクイズ番組に登場し、作中度々出てくる「No man is an island」というフレーズは、ジョン・ボン・ジョヴィの1990年のソロアルバムに収録されている「Santa Fe」の歌詞。
もともとはイギリスの詩人ジョン・ダンの言葉だそうです。

マーカスがウィルから貰ってノリノリで聴いていたラップはアメリカのラッパー、ミスティカルの「Shake Ya Ass」。
体を揺らして可愛らしい声で歌うニコラス・ホルトくんに思わず顔がほころびますよ。

また、イギリスのミュージシャン、バッドリー・ドローン・ボーイが本作のために16曲もの新曲を書きおろしています。

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