映画「mid90s ミッドナインティーズ」-スケボー少年たちの歯がゆい青春を切り取ったA24作品

スケボー仲間との交流を通して成長する少年を描いた青春映画。90年代へのノスタルジーとともに誰もが共鳴する思春期の感情が痛いほど突き刺さる!

Source: https://movies.yahoo.co.jp/

 

 

公開:2018年

制作国:アメリカ

上演時間:84分

監督・脚本:ジョナ・ヒル

出演:
サニー・スリッチ
ルーカス・ヘッジズ
キャサリン・ウォーターストン
ナケル・スミス ほか

 

 

 

※本記事にはネタバレ、結末が含まれています。

映画「mid90s ミッドナインティーズ」ネタバレあらすじ

1990年代半ば、ロサンゼルス。13歳の少年スティーヴィーは、シングルマザーの母親と兄の3人暮らし。
兄からは日常的に暴行を受けていた。
それでも彼はこっそり兄のコレクションをチェックし、持っていないCDを誕生日にプレゼントする。

ある時、スティーヴィーは通りでスケートボードをする少年たちに興味を抱く。
彼らはスケボーショップで働きながらそこに集っているようだ。
少し年上の奔放な10代の少年4人に心惹かれ、スティーヴィーは兄から古いスケートボードを手に入れると暗くなるまで夢中で練習した。
ある日、スケボーショップの裏で滑る4人を眺めていると、彼らの中でも年少のルーベンが声をかけてくる。
水汲みを命じられても、彼らに近づけたことで胸が躍った。
仲間に入りたい一心でスティーヴィーは、ルーベンからお古のボードを買うために、兄とともに母親の引き出しから金を盗んでしまう。
しかしその後で、彼は自責の念からブラシで自分の足を執拗に擦るのだった。

スティーヴィーは、サンバーンとあだ名をつけられ4人の中に次第に溶け込んでいく。
世話を焼いてくれるのは下っ端のルーベン。
貧しい家の出のレイはプロになって稼ぎたいと思っていた。
レイの親友ファックシットは裕福で日々パーティーを楽しみ、フォース・グレードは映画作りを夢見て常にカメラを回していた。
彼らとともにたばこを吸ったり、学校に忍び込んだり、スケーターが集まる公園へ行ったりと、スティーヴィーは刺激的な毎日を送るようになる。
仲間たちとの交流は母親にはもちろん兄にも打ち明けていない。
母親に金がなくなったことを聞かれ、自分だけ罪を逃れると兄にしたたか殴られた。

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屋根から屋根へスケボーで飛ぶという無謀なチャレンジをしたスティーヴィーは、見事に階下に落ちて怪我を負う。
しかしレイたちはそのクレイジーな挑戦を称賛した。
レイやファックシットに気に入られた彼は、新しいボードを貰い有頂天になるが、新参者に出し抜かれたことが面白くないルーベンは機嫌を損ねてしまう。

ファックシットの女友達とのパーティーではドラッグや初体験まで経験し、スティーヴィーはすっかり舞い上がった。
一方、レイは遊んでばかりいて現実を見ないファックシットとのすれ違いがもどかしく、年端も行かないスティーヴィーが酒やドラッグをやることも快く思っていなかった。
ハイになって帰宅したスティーヴィーは兄に責められ、激しい喧嘩となる。
兄を傷つけてしまったことで彼は、ゲーム機のケーブルで自分の首を締めるという自傷行為に及ぶのだった。

仲間との付き合いは母親の知るところとなり、母親はスケボーショップに乗り込み、息子に関わるなと4人に警告する。
スティーヴィーは母親に強く反発し言い争うが、親子は相容れない。
うなだれるスティーヴィーに、レイは「自分の人生は最悪だと思うが他の奴よりマシだ」と諭す。
皆それぞれ不遇な環境で問題を抱えていたのだ。
フォース・グレードは靴下も買えないほど貧しく、ルーベンは母親に虐待され、レイ自身も弟を事故で亡くしていた。

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スケーターたちの集まるパーティーで、プロたちと話すレイを酔ったファックシットが邪魔して、2人には張り詰めた空気が漂う。
さらにスティーヴィーとルーベンは些細なことから殴り合いの喧嘩になり、散々な場となった。
重苦しい雰囲気の中、ひとりハイになったファックシットは別のパーティーへ皆を誘うが、レイはファックシットの車に皆を乗せると家に送るよう言う。
しかし車は事故を起こして横転。
4人に怪我はなかったが、スティーヴィーは重傷を負い意識を失った。

スティーヴィーが目を覚ますと、病室には兄が付き添っていた。
病院のロビーでは、一晩中スティーヴィーの回復を待ち眠り込んでしまった4人。
その姿を見ると、母親は彼らを病室へ促した。
レイはスティーヴィーに言う。「誰よりも悲惨な目に遭ってるな。その必要ないだろ?」
そして皆でフォース・グレードが撮った映像を見る。
「mid90s」。眩しい太陽の下、屈託のない彼らの笑顔がそこにあった。

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ジョナ・ヒル&A24

本作は俳優ジョナ・ヒルの監督デビュー作。
コメディ俳優として知られていますが、「マネーボール」(2011年)「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(2013年)でアカデミー賞助演男優賞にも2度ノミネートされている実力派です。
脚本家志望だったこともあり、自身が主演する「21ジャンプストリート」(2012年)では原案・脚本・製作総指揮、続編「22ジャンプストリート」(2014年)でも原案・製作を手掛けています。
90年代に青春時代を過ごしたジョナ・ヒルの半自伝的作品で、全編16mmフィルムで撮影されているそう。
製作は、スタイリッシュ且つセンシティブな作風で今や不動の人気のA24 です。

映画「mid90s ミッドナインティーズ」のキャスト

スティーヴィーを演じるのはプロスケートボーダーにして俳優のサニー・スリッチ。
「聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア」(2017年)、「ルイスと不思議の時計」(2018年)などに出演。
本作出演当時は役柄と同じ13歳。まだ小柄な彼は痛々しくもあり、親世代から見るとヒヤヒヤしてしまいますね。
スケボー仲間は、スケボー界のスター、ナケル・スミスはじめ演技未経験のスケーターたちが演じています。
等身大の若者のリアルさは彼らの魅力に負うところが大きいと言えるでしょう。

母ダフニーには、「スティーブ・ジョブズ」(2015年)、「ファンタスティック・ビースト」(2016年など)シリーズなどのキャサリン・ウォーターストン。
兄イアンには若手実力派ルーカス・ヘッジズ。「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(2016年)でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされ、「レディ・バード」(2017年)、「WAVES/ウェイブス」(2019年)など人気のA24作品にも出演しています。

まとめ

音楽やファッション、ゲームなど、90年代のポップカルチャーに溢れ、且つ誰にでも訪れる普遍的な青春の痛みを描いた本作は世代に関係なく共感を呼ぶことでしょう。
言葉は少ないけれど印象的で、この先の人生へと続く結末はほろ苦くも輝かしくもあります。
ジョナ・ヒル監督、若い出演者たちの次回作にも期待が膨らむ1本です。

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