映画「フォーリング・ダウン」-すべてを失った中年男がブチ切れる!!

真面目に働いていたのにクビになる、娘の誕生日に行きたいだけなのに渋滞にハマる…。ついに男は怒り爆発!
次々と事件を起こし家路へと急ぐ中年男の悲哀を描くドラマ・コメディ。

フォーリング・ダウン

Source: https://www.amazon.co.jp/

 

 

公開:1993年

製作国:アメリカ

上映時間:118分

監督:ジョエル・シュマッカー

出演:
マイケル・ダグラス
ロバート・デュヴァル
バーバラ・ハーシー ほか

 

 

 

※本記事にはネタバレ、結末が含まれています。

映画「フォーリング・ダウン」ネタバレあらすじ

1991年、猛暑の日の朝、ある男の車が道路工事の渋滞に巻き込まれていた。
ワイシャツにネクタイ、黒ぶち眼鏡で真面目そうなサラリーマン風の中年男だ。
エアコンは故障し窓も壊れて開かないうえ、車内には一匹の蠅が入り込んでいる。
飛び交うクラクションや罵声、子どもたちが大騒ぎするバス、渋滞の列は微動だにしない。
ついに男は耐え切れず、汗だくで車外へ出る。
「あんた、どこへ行くんだ!」と他の車の運転手が声をかけると、彼は「家へ帰る」と言って、ブリーフケースだけを持ち車を置いて去って行った。
たまたま居合わせた刑事のプレンダガストは、やってきた警官とともに男が乗り捨てた車を道路脇へ移動した。

男は公衆電話から妻へ電話をする。
しかし何も言えないまま切れてしまい、改めてかけようとするがもう小銭がない。
そこで近くの韓国人が経営する商店へ行くも両替を断られ、仕方なく買おうとしたコーラの代金もぼったくられる。
すると男は怒り出し、店主が護身用に持っていた木製バットを奪うと商品の適正価格についてまくし立てながら店の棚を次々と破壊した。
そしてコーラの代金を払いレジからきっちり釣銭分の小銭を取ると、バットを持って出て行った。

刑事のプレンダガストは今日が退職日だ。
妻の望み通り内勤の事務仕事に甘んじ、定年を待たず退職する彼に皮肉を言う者もある。
不安定な妻を気遣っていたのだが、職場では明かさず、馬鹿にされても笑っていた。
プレンダガストのもとへ韓国人の商店主が被害を訴えてくる。
コーラの代金も払い盗まれたのが木製バットだけでは強盗事件にはならないが、実に奇妙な事件だ。

その後、男が空き地で休んでいると、チンピラ2人が絡んでくる。
穏便にかわそうとするもナイフで脅され、商店から持ってきた木製バットで殴ってチンピラを追い払った。
逃げるチンピラたちに向かって叫ぶ。「家に帰るんだ!邪魔をするな!」

通りの公衆電話で、男は再度妻に電話をする。
そこへ、チンピラたちが男に報復しようと車からマシンガンを乱射してきた。
周りにいた人たちが次々と巻き添えを食うが、男は無傷だった。
その後運転を誤りひどい事故を起こしていたチンピラたちから男はマシンガンを取り上げ、重傷を負ったひとりの足を打つと、銃が詰め込まれたカバンを取ってその場を立ち去った。

男と妻は既に離婚していた。
男は電話で、今日は幼い娘の誕生日だから家へ帰ると言うのだが、元妻は拒絶する。
必ず行くと言う男に怯える元妻は警察を呼び、気が短く情動的な夫に暴力性を感じていたと訴えた。
男には妻子への面会禁止命令も出ていたが、妻子が暴行を受けた事実はなく、警察はほどなくして帰って行った。
男は決して日常的に暴力を振るうようなタイプではなかったのだ。

男はバーガー店でも融通の利かない店に怒り発砲事件を起こすが、きちんと代金を支払って店を出る。
さらに、底に穴の開いた靴を買い換えようと軍払い下げ品の店へ。
差別主義者の店主は男を同胞と勘違いして親切にするが、男が反論すると態度を一変し銃を突きつけてきた。
娘のために買ったスノードームを壊されキレた男はチンピラから取ったナイフで店主を刺し、銃を奪って撃ち殺した。
そして店から妻へ電話すると、冷静にしかし明らかに脅迫めいたことを言うのだった。

Source:https://www.youtube.com/watch?v=BD5ofrSNDFA

プレンダガストは、一連の事件の共通点から、異常な男の存在に気付く。
男が銃の入ったカバンを盗んだことも知るが、閑職に就いていたプレンダガストの話を聞く者はなかった。
腰抜け扱いされ、プレンダガストは自身で捜査を始める。
韓国人の商店から丘一つ越えた先に今朝の道路工事の渋滞現場があり、車を置いて消えた男を突き止め実家を訪ねた。
男の名はビル。同居の母親とはろくに口もきかなかったらしい。
ビルの寝室は簡素で整然とし、几帳面で神経質な性格のようだった。
調べてみると、軍需工場で長年真面目に務めていたがひと月前にクビになっていたことが分かる。
しかし母親にも打ち明けず、彼は毎日ランチだけが入ったブリーフケースを持って出勤していたのだ。
プレンダガストはビルに別れた妻子がいたことを知り、ビルが「家」というのは妻子の住む家なのだと気付く。

一方、ビルは軍払い下げ店で手に入れたバズーカと軍服で武装し、工事現場でバズーカを放ったり、会員制ゴルフコースや美容整形外科医の邸宅で次々と騒ぎを起こす。
行く手を阻む社会の不条理に怒りをぶつけながら、彼はただ家路を急いでいた。
ついに家の近くまで来て電話をすると、元妻はビルが来るのと入れ違いに娘を連れて家から逃げた。
ビルはひとり家で家族のホームビデオを見る。

プレンダガストは何度も署に電話をしてきてヒステリックにわめく妻を一喝し、上手く取りなすと、彼をからかい妻を侮辱する仲間を殴り倒した。
幼い娘を亡くして以来寄り添い、更年期の妻に手を焼いていたが、プレンダガストは妻を愛していた。

Source: https://www.youtube.com/watch?v=BD5ofrSNDFA

ビルが以前家族で行った桟橋の先の売店へ向かうと、果たして元妻と娘はそこにいた。
全てを失い、人生で唯一幸せだった頃の自分にしがみつくしかないビルは、妻子に異常なまでの執着をみせた。
銃を持つビルに周りの人々が逃げる中、プレンダガストが近づいて悠々と話しかける。
彼は幼くして世を去った娘の話をした。
隙をついて元妻は娘とともに逃げ、プレンダガストがビルに銃を向ける。
プレンダガストは説得するも、絶望したビルに降伏する選択はなかった。
ビルはポケットに銃があると言い、手を出そうとした瞬間、プレンダガストが銃を放った。
ビルが出したのは、娘が遊んでいた水鉄砲だった。
家では幸せな家族のビデオが流れ続けていた。

ブチ切れた男の悲劇

今回ご紹介するのは、グレン・クローズやシャロン・ストーンといった美貌のサイコパスにうつつを抜かし痛い目に遭っていた頃の色男マイケル・ダグラス主演の一本。
お色気要素を封印した角刈りで、今度は自分がイカレちゃったマイケル・ダグラスが、キレまくり悲哀に満ちて実に魅力的です。

刑事のプレンダガストを演じたのは名優ロバート・デュバル。
怒りまくる主人公に対して柔和で落ち着いていて、どこかお茶目で愛嬌があり、愛妻家で素敵な紳士です。
署内の不当な扱いに辛酸をなめていますが、ブチ切れて一発お見舞いするシーンや、マスコミの前でムカつく署長にfuckin発言はスカッとあっぱれ。

Source: https://www.youtube.com/watch?v=BD5ofrSNDFA

監督はジョエル・シュマッカー。
青春映画の金字塔「セント・エルモス・ファイアー」(1985年)をはじめ、「バットマン フォーエヴァー」(1995年)「フォーン・ブース」(2002年)「オペラ座の怪人」(2004年)など様々な作品を手掛けました。
2020年6月、80歳で他界。

30年前の作品ながら社会的問題は現代に通じるところがあり、ストレートで分かりやすいストーリーです。
元妻や実母との関係性で、「普通」であり「異常」な主人公の人間性も絶妙に表現され、真の悪人でもサイコパスでもないところに悲哀を感じます。
グレードアップする武器とともに犯罪もエスカレートしたりと、B級ブラック・コメディ的でテンポ良く楽しめる一本です。

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